連敗が続く楽天に、ベテランの言葉はまぶしい。

 5月5日、久保裕也が支配下登録され、その日の楽天生命パークのマウンドに上がった(対西武)。先発した則本昂大が3回7失点で降板すると、4回からの2回を1失点。今季初の一軍マウンドで「コントロールもできていたし、この日のテーマでもあった内野ゴロを打たせることもできた」と手ごたえを得た。

 昨オフ、右手薬指と小指の血行障害の手術を受け、育成契約となった久保。だが「血管を切っているわけではないので、傷口がふさがれば変わらずに投げられるんです。実際、投げ始めたときも違和感は感じませんでした」と本人は冷静だった。その言葉どおり、開幕こそ二軍で迎えたが、二軍戦のマウンドで首脳陣の不安を一蹴してみせた。

 一方で一軍は苦しい状況下。「首位にいた昨年と比べると少し元気がないような感じはしますし、練習に対してまじめ過ぎたりね」とチームメートの思いも理解している。それでも「過去は取り戻せないし、考えたからってうまくいくわけじゃない。まあだから野球は楽しいんですけどね。(チームは)そのうち上がってくると思うし、まだ先は長いので」と語る久保の表情は明るい。

「昨年(のチーム)は前半がよくて後半に下がってしまったので、今年は逆にここから、中盤、終盤で勢いを取り戻せれば。結果的にどの順位にいるかが大事」

 一軍に昇格したばかりで、練習着の番号はまだ「091」のまま。「これ(091の0の部分)、自分で取ろうと思ったんですけど、ダメでした(笑)」と笑う久保の右肩の番号の糸は少しほつれている。

「僕の場合は野球ができるだけでも楽しいので」

 戦力外通告やテスト生としてのキャンプ参加、育成契約に手術と何度も苦難乗り越えてきた37歳は、冷静に、客観的にチームを見ている。その少しの余裕が今のチームには必要なのかもしれない。

「明るく楽しく」

 そう言ってほほえむベテランの背中は若手以上に輝いて見えた。

文=阿部ちはる 写真=BBM

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