楽天の「足のスペシャリスト」が存在感を発揮し始めた。昨季のイースタン・リーグ盗塁王の島井は、その快足を買われてオフに育成契約から支配下登録選手に“再昇格”。オープン戦で4盗塁を記録すると6年目で初の開幕1軍をつかんだ。しかし、4月14日の西武戦(楽天生命パーク)まで盗塁はゼロ。翌15日に出場選手登録を抹消された。

 2軍では8試合に出場し、打率・400、2盗塁を記録。4月25日のロッテ戦(楽天生命パーク)から再昇格すると、5月26日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)で初盗塁を記録。6月3日のヤクルト戦(楽天生命パーク)でも8回1死一塁から二塁を陥れ、今季3個目の盗塁を成功させるなど、攻撃のオプションとして機能し始めている。

 先輩の一言が島井を変えた。1軍に再昇格してしばらくしたある日、渡辺直から食事に誘われた。そこで「お前ぐらいの能力があれば、どんな投手でも成功するから」と背中を押された。「直人さんの一言で吹っ切れましたね」。平石ヘッドコーチからも「信頼して送り出している。失敗しようと気にするな」と声を掛けられた。投手のクイックモーションや捕手の肩…。いろいろなことを考えすぎていたが、思い切りの良さを取り戻した。

 ただ、これまで3つの盗塁から本塁まで戻ってきたことはない。チーム総得点はパ・リーグ最少の162(5位はオリックスの193)。50メートル走5秒6の足をチームの勝利につなげるためにも、島井は次の塁を狙い続ける。(記者コラム・黒野 有仁)