毎年6月の風物詩となっている、日本生命セ・パ交流戦も中止の分を除くと、残り2カードになった。私が担当している楽天は、11試合を戦って、勝ったのは巨人にだけ。2勝9敗と大きく負け越して、苦しい戦いが続いている。

 今では年間18試合になった交流戦。1チームと戦うのは3試合とあって、調子のいいチーム、苦戦するチームと様々だが、球界関係者は数少ない楽しみを満喫する時期でもある。楽天で言うと栗原打撃コーチが、かつて4番を務めた広島に引退後初めて凱旋(がいせん)。打撃コーチとしては何とも言えない3戦1得点と、古巣に返り討ちとなってしまったが、広島ファンからの声援は選手以上だった。巨人戦でプロ5年目で初勝利をつかんだ古川は、1週間前のDeNA戦で初安打初打点の方が先。パのピッチャーでは極めて珍しい事態も生まれた。

 残念ながら、ファンの方々は見る機会が少ないかも知れないが、試合前練習の時間帯も、記者にとっては新しい発見も多い。顔見知りの先輩が相手チームにいれば、練習中にあいさつに行くのが球界の常識。高校や大学の先輩はもちろん、侍ジャパンで戦ったチームメート、古巣のコーチ…など、そのつながりは挙げたらきりがない。

 もちろん同一リーグ同士で行うことだが、交流戦は普段見ることが出来ない、カードとあって、何とも新鮮だ。17年WBCをともに戦った則本と坂本勇が笑って話し、藤田や渡辺直は古巣DeNA戦は大忙しだった。

 他にも、交流戦絶好調の田中は、巨人戦の取材に来ていた立大の先輩で日本テレビの上重アナウンサーと握手をして「めっちゃかっこよかったです」と感心。島井が、一目散に快足を飛ばして向かった先はなんと巨人・高橋由伸監督だった。聞けば沖縄の社会人チーム・ビッグ開発ベースボールクラブに所属していた時に巨人のキャンプや由伸監督の自主トレを手伝っていたという。人とのつながりは様々で、意外な組み合わせもあるもんだと、取材不足を思い知らされる毎日だ。

 2年に1度しかいけない地での試合とあって、名物料理を食べたり、知人に会ったりと心待ちにしている選手が多い交流戦。そういえば、仙台に来たつば九郎も大人気だった。かつては6試合×6チームの36試合だったが、半分の18試合になって希少価値が高まったからこそ、楽しめる部分も多いかも知れない。

 地元凱旋(がいせん)本塁打や、古巣からの初勝利―。交流戦ならではの、見所も多い。もっと見たい気もするが、少ないからこそ味わえる楽しみなのかもしれない。今年もそんな交流戦が残り1週間で終わってしまう。(記者コラム・安藤 宏太)

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