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練習試合で選手に語り掛ける須江監督(中央奥)
 元部員の飲酒、喫煙問題で6カ月間、対外試合が禁止されていた仙台育英高硬式野球部の処分が今月5日に解けた。佐々木順一朗前監督(58)に代わって須江航(わたる)・秀光中教校軟式野球部監督(35)が新監督に就任。処分期間中はボランティア活動に力を入れた。夏の甲子園を目指す宮城大会の開幕を7月14日に控え、練習試合を重ねる。

【仙台育英飲酒問題】引責辞任を表明する佐々木監督(当時)

 多賀城市の同校多賀城キャンパス野球場で6月16日にあった盛岡大付(岩手)との練習試合。「いくぞー」。攻守の切り替えのたびに選手の大きな声が響いた。守備位置に向かうのも全力疾走。3年の阿部大夢(ひろむ)主将(18)は「やっと試合ができる」と喜びをかみしめた。

 監督交代は昨年12月。就任して間もなく須江監督は選手に語り掛けた。

 「もう自分たちのために野球をやることはなくなった。これからは人のためにやろう」

 新体制のテーマの一つは「地域の人たちと感動を分け合う」。選手は地域の除雪や清掃などボランティア活動に今まで以上に取り組んできた。住民からはお菓子などの差し入れや、応援の手紙が届くようになったという。

 問題の本質を選手と共有しようと、1対1の面談にも時間を割いた。須江監督は「なぜこういうことが起きてしまったのかを話し合った。心のケアという面もあった」と振り返る。

 対外試合の解禁まで紅白戦に力を注いだ。「公平にはできなくても平等にはできる」と須江監督。レギュラーを決めずに2、3年の77人全員が打席に立てるようにした。阿部主将は「この時期でもまだみんなにチャンスがある。全員がやる気を失わずに練習に励んでいる」と話す。

 春夏合わせて38度の甲子園大会出場を誇るが、再出発したチームの目標は「笑顔で終わること」。「優勝」や「甲子園」という言葉はあえて選ばなかった。阿部主将は「つらい時も支えてくれた人たちのために恩返ししたい」と意気込む。

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