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6月に辞任した楽天・梨田前監督
楽天・梨田昌孝監督(64)が電撃辞任してから1か月あまり。今季最多借金20になった6月16日の阪神戦(楽天生命)後に、身を引くことを発表し、平石洋介監督代行(38)へと再建へのバトンは託された。


 12球団最年長指揮官だった梨田監督といえば、代名詞はなんといっても「オヤジギャグ」。4年ぶりのCSに進出するなどチームも好調だった昨季(2017年)はまさに“舌好調”だった。試合前と試合終了後に必ず行われる報道陣への囲み取材では、選手の活躍をたたえながらも、笑いに変えた。嶋が活躍すれば「試合がシマまった」、宋家豪(ソン・チャーホウ)が昇格して好投すれば「ソンだけど得しましたね」などと次から次へと、ダジャレを口にした。

 だが、低調なチームに呼応するかのように、今季は後ろ向きな「梨田語録」となっていった。交流戦に入った際には「うちは最下位だから、セ・リーグの球場でも指名打者を使わせてもらいたい。それくらいのハンデをもらわないと」と訴え、5月末に監督通算800勝を記念したTシャツをナインが着用すると「1か月前から倉庫に置いてあったみたい」と言い、梅雨入りすれば「打線も湿っている」と自虐的だった。

 ちなみに、梨田監督が最後に残したダジャレは指揮官として最終戦だった6月16日の試合前。この日の阪神の先発は岩貞で、交流戦に入ってからは今村(巨人)、ジョンソン(広島)、小笠原(中日)ら左腕に苦しめられてきたことを問われて言い放った「この前のジョンソンはよかったね。ジョンソン・エンド・ジョンソンみたい」だった。最後の最後まで気丈に振る舞ってきたが、今思い返すと、今季は頭の中がチームのことでいっぱいだったのか、報道陣の反応がイマイチだと「ダメ?」と問いかけてくることも多かった。

 チームは後半戦になってようやく息を吹き返し、ここまで球宴後は5勝1敗とエンジンがかかってきたように見える。梨田監督はどんなギャグを飛ばすかな―。つい、そんなことを考えてしまう。(記者コラム・安藤 宏太)