<ニッカンスポーツ・コム/プロ野球番記者コラム>

特別な感情は湧かなかったという。

今季限りで現役を引退する西武松井稼頭央外野手(42)だ。

まだクライマックスシリーズが残っているが、6日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)がレギュラーシーズンとしては日米通算25年間のラストゲームだった。試合前に聞いた。

「今日は、特にね。この前のホーム3つ。あれだけの声援を頂いたからね」

9月27日に引退会見を開いた。その日からのソフトバンク3連戦(メットライフドーム)では、松井が登場するたびに場内は割れんばかりだった。幸いだったのは、同3連戦の後は札幌、千葉、そして最後に福岡とビジターで回れたこと。行く先々で、相手チームのファンからも拍手で迎えられ、歓声で送り出された。

1つだけ心残りがある。

「仙台がね。7年間、お世話になったからなあ。雨で中止になってれば、またやれたのになあ、なんて思ったけど、そううまくはいかないね」

引退会見した日の前カード、9月24、25日は仙台で今年最後の楽天戦だった。チームメートには意思を伝えていたが、まだ公にはしていなかった。スタンドの声援は相変わらずだったが、2試合のうち、どちらかが雨で流れていれば…。10月に振り替えられたであろう試合では、引退を明らかにした身で、もう1度プレーできた、という、ささやかな願いだった。

日本球界に復帰した11年、当時の星野監督の熱烈オファーを受け、楽天を選んだ。7年の間、さまざまなことがあった。大震災。日本一。最下位。思い出は尽きない。昨オフ、コーチ打診を断り、現役続行を求め町を後にした。

単身赴任だった。試合後のご飯が楽しみだった。よく通ったのは、近所のトンカツ屋さん。

「おいしかったなあ。大将が、僕が記録を出すたびにお祝いしてくれた」

西武は松井に対し、来季はコーチ専任でオファーする見込みだ。選手とは違う形になるが、仙台を訪れる機会は、すぐに訪れそう。

「また、何かの形で行けたらね」

杜(もり)の都との再会を楽しみにしている。【西武担当 古川真弥】

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