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  最高のデビューまで、あと一歩だった。西口直人はその1球で、初勝利の権利を失った。9月30日、オリックス戦(楽天生命パーク)、2点リードの8回、二死三塁。オリックス・宗に右翼席に運ばれ同点。続く福田に二塁打を許したところで降板を告げられた。8回途中5安打2失点。堂々のデビュー戦だったが、同時にプロの厳しさも突きつけられた。

 最高の投球だった。最速148キロの直球にカーブ、チェンジアップを効果的に織り交ぜ、7回までピンチらしいピンチもなかった。「緊張もあったけど真っすぐで押していこうと、腕を振ることだけ考えていきました。今までやってきたことは出せました」。納得の投球ができただけに、より1球の重みが感じられた。

 一発を浴びたのは内角へのストレート。「真っすぐの球威は少し落ちてきていたと思うけど、しっかり投げ切らないと」と唇をかんだ。それでも満足感ではなく、手応えと悔しさを胸に突入するオフは、より充実したものになるはず。たった1度の登板で、首脳陣に西口の名前をはっきり刻み込んだことも、大きな意味があった。

 苦労なく歩んできたわけではない。ドラフト10位で、2016年秋のドラフトで12球団最後に指名された支配下選手。プロ入り後は、高く評価されながらも度重なるケガで、チャンスを逃してきた。「この悔しさを、来シーズンにぶつけられれば」と語った右腕。飢餓感を抱えて臨む来季、一気のブレークにつなげていく。