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 国内フリーエージェント(FA)権を行使した西武・
浅村栄斗内野手(28)が楽天に移籍する意思を固め、近く決断することが19日、分かった。今季、打点王を獲得する活躍で10年ぶりの優勝に貢献したレオの主将は同日、オリックスに断りの連絡を入れ、西武との最終交渉に臨んだが、野球選手としてのさらなる成長を求め、杜の都に戦いの本拠を移す。

 西武を引っ張ってきた浅村が、野球人生のネクストステージに楽天を選ぶ。この日午前、交渉を望んでいたオリックスへ断りの連絡を入れ、代理人を伴って西武・渡辺久信シニアディレクター兼編成部長(53)と最終交渉。残留を求める西武からはその場で、これまでの3年総額15億円から新たに4年総額20億円を超える大型契約を提示された。

 だが、7日のFA宣言前にサンケイスポーツの取材に対し、「あと10年できるか分からない野球人生なので、後悔したくない気持ちが強い」と激白し、12日には28歳の誕生日を迎えた浅村。関係者の話を総合すると、新たな環境での戦いに身を置くことを決意したもようだ。

 ソフトバンクも4年総額25億円を超える破格の条件を示していたが、三笠球団統括本部長はこの日、状況について「ご本人の権利で動いていることですから、ご本人に聞かれたら」と歯切れが悪く、苦戦中であることをうかがわせていた。

 楽天は4年総額20億円超の大型契約と、背番号「3」を用意。そして“つながり”が移籍へ後押しした。楽天の石井一久ゼネラルマネジャー(GM、45)は、浅村がプロ入りした2009年から5年間チームメート。16年オフに西武からFA移籍した岸も在籍し、5年間ともに西武でプレーして公私で慕う渡辺も今季から楽天に復帰。新天地でもすんなりと溶け込める環境が整っている。

 今季12球団ワーストの520得点と得点力不足に悩まされた楽天は、シーズン中から水面下で浅村を調査。15日に交渉が解禁されると、積極的にコンタクトを取り、熱意を伝えてきた。

 東京都内で行われた前日18日の初交渉では、石井GMが「セカンドを守れて打撃もすごくて、背中で引っ張れるようなスペシャルな選手はなかなかいない。なかなかいないというか、もう現れないと思う」と絶賛。浅村も石井GMに対し、移籍を経験した際の心境を聞くなど、ディナーを取りながらの約2時間の交渉は、和やかに行われた。

 浅村は「育ててもらったライオンズには本当に感謝している」と、最後までチーム愛とのはざまで揺れたが、「環境を変えてやりたい気持ちもある」と吐露していた。優勝チームから同一リーグ最下位チームへのFA移籍は、03年オフの村松(ダイエー→オリックス)、11年オフの小池(中日→DeNA)に次いで3人目。浅村が、杜の都を主戦場に新たな伝説を作る。