ヤンキース田中将大投手（２８）が、来年３月のワールド・ベースボール・クラシック（ＷＢＣ）出場へ前向きな意向を示した。１１月３０日、楽天の本拠地コボスタ宮城を訪問。
日本球界、侍ジャパンへの変わらぬ思いを口にした。今後の正式オファーを受け、ヤ軍側との話し合いが行われる予定。日本一を置き土産に海を渡ったマー君が、侍メンバーとして凱旋（がいせん）できるか注目される。

　海を渡っても、侍ジャパンへの特別な思いは何も変わっていなかった。古巣へあいさつに訪れた田中は、当然、報道陣からＷＢＣについて聞かれた。
「新たに皆さんにお伝えすることは、申し訳ないですけど、ないです」と断った上で「あらためて言う思いなんて、ないですよ。言ってきている」と話した。今季の終盤に国を背負って戦う重み、準決勝で敗退した前回大会の悔しさを語ったことがある。心境は変わっていないか、の問いに「気持ちは、もちろん、あります」と答えた。

　ヤ軍のキャッシュマンＧＭは、選手のＷＢＣ派遣を認める発言をしている。田中は「球団が出ていい、ダメ、と言うのはルール上ない」と話す。
一方で、チームの看板投手になった立場も自覚している。「誰だからどうとか、ないと思いますけど…。全てが全て、皆さんの前でお話しできることじゃない。分かってもらえれば」と正直に話した。小久保監督からの正式オファーを受けてヤ軍側と話し合い、参戦への道を探す。

　ボールへの対応、外国人選手への攻め方、調整法。田中が加われば、その経験値が若い侍ジャパンにとって武器になる。
「若い選手も増えて。全然メンバーが違うのかな、っていうのは、何となく分かります。僕も前回は、『ボールに全然対応できていない』と随分とたたかれましたが、ボールじゃなかったということですね」。先発の軸としてはもちろん、存在自体が最高の後ろ盾になる。

　状態はいい。年間ローテを守り、１９９回２／３を投げ１４勝４敗。「元気です。ぼちぼち投げ始めている。去年は（右肘の）術後だったので、投げ始めは多少は早いです」と明るかった。
待望論は「初耳です」と流した。アメリカでは、ＷＢＣが今大会で最後となるという報道がある。マー君が投げて、上原が抑えて世界一を奪い返す。世界に通ずる侍を、誰もが見たい。【宮下敬至】

　◆ＷＢＣに参加した日本人大リーガー（所属は当時）　野手はイチロー（マリナーズ）が０６年の第１回大会から出場。０９年の第２回大会はイチローのほか、城島（マリナーズ）岩村（レイズ）福留（カブス）が出場した。
調整が難しい投手の出場のハードルは高く、０６年は大塚（レンジャーズ）、０９年は松坂（レッドソックス）が参加したのみ。１３年の前回大会では出場要請した大リーガーがすべて参加を辞退し、初めて「純国産メンバー」で臨み３連覇を逃した。

　◆ＷＢＣに出場したヤンキース選手　ジーターやロドリゲスら主力野手の出場経験者は多い。しかし、投手はマイナークラスや引退間際の通算１６２勝左腕アル・ライターが出場した例はあるが、先発ローテーションに入るようなチームの中心選手が参加したことはない。

ヤンキースと田中の契約は１４年から２０年までの７年間だが、４年目の１７年シーズン終了後に契約を解除し、ＦＡになる権利を田中は持っている。もちろん、ヤンキースとの再契約は可能だ。
チームは再建に着手し、若手育成にかじを切ったばかり。
今オフ大型補強に動くことは考えにくく、来季も田中が目標とするワールドシリーズ制覇には程遠い戦力で戦うことになりそう。
それに業を煮やしてヤンキースを出て行くのではとファンは心配しているわけだ。

こんな不安も。田中の年俸は１９年までが２２００万ドル（約２２億円）で、２０年が２３００万ドル（約２３億円）。
ニューヨークの地元紙の記者は「右ヒジが壊れず現在の調子を維持できれば、（１７年オフに）平均年俸２５００万ドル（約２５億円）以上でオファーするチームはあるだろう」とみる。
ヤンキース再建の中心として田中に期待しているファンは多い。来年オフのこととはいえ、すでに重大な案件なのだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160823-00000015-tospoweb-base

！？

17日（日本時間18日）に本拠地で行われたレッドソックス戦に先発したヤンキース田中将大投手が、6回を3安打7奪三振1四球1失点（自責1）とする好投で今季7勝目（2敗）を挙げた。
2連敗だったチームは3-1で勝利を収め、これでようやく後半戦初白星。田中自身は球宴休みをまたいで4連勝となった。


　オールスター休みをはさみ、前回から中6日での登板となったレッドソックス戦。
1回1死から、これまで対戦打率.313と決して相性のよくないペドロイアに4球目甘く入ったスライダーを左翼席に運ばれ、先制点を許してしまった。
　
　だが、低めの制球が冴えたこの日は、速球を見せながらスライダーとスプリットで相手打者にバットを振らせ、テンポ良くアウトを積み重ねた。
2回こそ2死一、二塁の場面を作ったが、後続をきっちり抑えて無失点。5回2死からホルトに右翼へ二塁打されるまで9者連続凡退をする快調ぶりだった。

　マウンドへ戻った6回は2番ペドロイアからという打順だったが、ペドロイアをレフトフライに打ち取ると、続くボガーツを空振り三振に仕留めて今季100奪三振を記録。
さらに、オルティスをセンターフライに仕留めて3死とした。

　快調に飛ばす田中に、打線も応えた。4回の攻撃でグレゴリウスのセンター前安打を皮切りに、打線がつながりを見せて一挙3点を獲得。逆転に成功した。

　田中は6回を投げ終えて87球（58ストライク）だけだったが、次の登板はローテーション通りならば中4日で迎えること、気温の上昇で体力消耗が激しいことを考慮されてか、
7回からマウンドを2番手ベタンセスに譲り、早めの降板となった。

　7回からは勝利の方程式、ベタンセス→ミラー→チャップマンの救援最強トリオが登場し、
この日まで30球団トップのチーム打率、長打率、得点を誇るなど絶好調のレッドソックス打線を封じ、プレーオフ進出への巻き返しに向けて貴重な1勝を飾った。

　田中の次回登板は、ローテーション通りならば22日（同23日）本拠地でのジャイアンツ戦となる。

ちなみに今季成績
田中将大(2016) 19試合　123.0回　7勝2敗　防御率3.15　WHIP1.09