最下位に低迷する楽天にあって、明るい要素もある。5日に育成契約から支配下登録され1軍に昇格した37歳右腕、久保裕也投手の存在だ。5日の試合前練習後には報道陣の待つ球場内通路で「いえーい!!帰って来ましたー!!」と大きな声で喜びを表現した。

 昨年は中継ぎで27試合3勝1敗6ホールドの成績を残したが、9月に右手の薬指、小指に血行障害の症状が出て登録を抹消された。10月には戦力外通告を受け、育成選手として再契約。11月には手術を受けたが「血管が詰まっていたら、開かなければいけなかったが、血管に手を付けずに済んだ」と最悪の事態は免れた。

 約1カ月の投げられない時期はあったが、昨年末には投球を再開。キャンプは2軍となったが、リハビリと調整を重ね、再び支配下登録を勝ち取った。「本当は開幕前に(1軍に)上がれたら良かったが、そんなにうまくいく訳もなく。でも比較的早い段階で1軍に呼んでもらえたので精一杯頑張りたい」と意気込んだ。

 いわゆる松坂世代。初勝利を挙げた中日・松坂には「頑張ってるなと思った」と刺激を受けている。既に中継ぎで2試合に登板し防御率は3・00だが、比較的安定した投球を披露している。練習着の袖の番号はまだ、育成時代の「091」。「0」を自らニッパーで取ろうとしたがうまくいかず「刺繍が二重になってるんですよ。しぶといです」笑う37歳。袖の「0」は取れなくても、チームの浮上のために身を粉にして奮投する姿を見れば、誰もが育成選手だったことは忘れるはずだ。(記者コラム・黒野 有仁)

【楽天の“松坂世代”久保 チームの浮上へ奮闘 5日に育成契約から支配下登録】の続きを読む